2013年04月15日 00:15
大阪アースダイバー
上町台地の高低差を歩こう!
21. 天王寺〜桃谷周辺を歩く
先日、大阪高低差学会の会員3名(0001の@miz0001さん、0373の@chuunyaさん、9973の@chaotic_chaosさん)と天王寺から桃谷周辺を歩いてきました。当初は私ひとりで桃谷を歩く予定だったのですが、急遽一緒に歩きましょうかということになり、ある意味これが大阪高低差学会の「第0回フィールドワーク」かもしれません。ちなみに「第1回フィールドワーク」を4月28日に開催予定です。ご案内は後ほど。

高低差で色分けした航空写真です。
四天王寺東側の地形は比較的なだらかです。

河堀稲生(こぼれいなり)神社から茶臼山の河底池にかけては和気清麻呂(わけのきよまろ)が行った治水工事の跡だと言われる窪地が確認できます。

あべのハルカスです。夏にはタワー館と呼ばれるエリアが先行オープンしますね。

いい感じのアーケード街に、

いい感じの駄菓子屋さん。

JR天王寺駅の下をくぐる地下道がありました。

午後7時から午前7時までは閉鎖されている。

地下道はこんな場所。ここは庚申街道の名残の道になります。

ちなみに明治19年測量の地図と重ねるとこのようになる。

階段を上がると

目の前に再びハルカスが。
ここはJR天王寺駅の上にある陸橋です。この陸橋も庚申街道の名残です。

さて、陸橋を渡らず下に下りていきます。

天王寺バイパスの下。

ここにこんな階段がある。上に上がれるのか!

おお〜!再びハルカスが。
さて、

河堀稲生神社にやってきました。
神社は隆起した地形の上にある。

「河堀」は「こぼれ」、「稲生」は「いなり」と称します。

拝殿です。

こちらは四天王寺七宮の一宮になります。
「延暦七年三月、摂津大夫和気朝臣清麿(せっつだいふわけのあそみきよまろ)が、河内摂津両国の界に川を堀り堤を築き、荒陵の南より河内川を導き西の海に通せんとして、当社に祈願した。以後河堀と書いて「コボレ」と称す。」

拝殿の横に道標がある。

どこにあった物でしょうか。
おそらく道路の拡張時にここへ移設されたのでしょう。

さらに北に歩いて行きます。

いい感じの建物ですね。

旅館だったのかな。立派な建物です。

久保神社です。

こちらは拝殿。

こちらも四天王寺七宮のひとつです。

こちらには大岩小岩大明神が祀られている。
御神体は岩。大阪市内にも自然石を御神体とする場所があったとは。

境内にちょっと気になる場所が。

ここに力石が5つほど置かれていました。
どういういわれなのでしょう。

左に四天王寺が見えましたが、立ち寄らずに細工谷へ。

(a)松ヶ鼻町でちょっと気になる集合住宅がありました。現在は閉鎖されていて解体を待っている感じの建物。

調べると、昭和23〜24年頃に竣工した府営夕陽ヶ丘住宅だそうです。戦後すぐに建てられた建物とは思えない立派な集合住宅ですね。建築時期を知ってちょっとビックリでした。

(b)ほとんど垂直に近い階段。まるで壁のようです。

ここを「壁階段」と呼ぶ事にしました。

松ヶ鼻町。町名の由来はわかりませんでしたが、明治28年に大阪鉄道城東線桃山停車場(現JR桃谷駅)開設を契機に宅地化が進んだ地域です。それまでは桃畑や茶畑が多い場所だったようです。

こういう石積みは昔の地形の名残を感じる。

周辺にはところどころに高低差を見ることが出来る。

この傾斜地に桃や茶が植えられていたのでしょう。桃の花の季節は多くの人がこの地を訪れたのでしょうね。

(e)道の隅にこんな碑があった。

「是より東 鶯の丘」。鶯の丘とは何なんでしょう?地名ではなさそうな…

ゆるやかな坂道の横道にも高低差がある。

(d)いい石積みです。

ここも昔は石段だったのでしょうか。

(C)赤い色の石が混ざった石段発見。

ちょっと珍しいかも。

町の中にさりげなくある高低差。
さて、

工事中の道路に出てきました。この道路、結構長い間工事をしていたようですが、実は道路の下には細工谷遺跡が眠っています。
「大阪歴史博物館」より

これが発掘当時の写真。
「大阪歴史博物館」より

この地から、今まで知られていなかった「百済尼寺」の存在を示す多数の墨書土器や瓦が出土しています。
「大阪歴史博物館」より

さらに、全国初の発見となった和同開珎の枝銭が見つかりました。
「大阪歴史博物館」より

ちなみに枝銭とは貨幣を製造する時に出来る木の枝のような部分。
「大阪歴史博物館」より

これは最古の通貨といわれる富本銭。
凄い物が発掘されていたのですね。上町台地は奥が深いです。
より大きな地図で 上町台地の高低差を歩こう を表示
------------------------------------------------------------------
冒頭で触れましたが、
大阪高低差学会の第1回フィールドワークを開催することにしました。
大阪高低差学会
第1回フィールドワークのご案内
開催日:4月28日(日)雨天決行(ただし悪天候の場合は中止)
集合場所:午後1時に天満橋駅前広場1階(地上階・スターバックス横の広場)
【申し込み方法】
下記のATNDで参加表明してください。それだけです。
http://atnd.org/events/38565
参加のキャンセルも簡単にできますのでお気軽に。
当日ドタキャンもOK。ゆるめです。
なお、大阪高低差学会の告知情報の配信のためにツイッターもはじめました。
https://twitter.com/osakakoteisa
こちらのフォローもよろしくです。
------------------------------------------------------------------
【 上町台地の高低差を歩くシリーズ 】
上町台地高低差マップ一覧(Facebook)
1. 上町台地高低差マップ 2012.12.3
2. 住吉大社周辺を歩く 2012.12.4
3. 帝塚山古墳周辺を歩く 2012.12.6
4. 阿部野神社周辺を歩く 2012.12.8
5. 聖天山正圓寺・阿倍野墓地周辺を歩く 2012.12.11
6. 阿倍野周辺を歩く 2012.12.13
7. 天王寺公園周辺を歩く 2012.12.16
8. 安居神社・清水寺周辺を歩く 2012.12.19
9. 四天王寺周辺を歩く 2012.12.23
10. 愛染堂・大江神社周辺を歩く 2012.12.29
11. 生国魂神社周辺を歩く 2013.01.11
12. 空堀商店街周辺を歩く 2013.01.18
13. 松屋町筋・龍造寺町周辺を歩く 2013.01.22
14. 鶴橋・上本町周辺を歩く 2013.02.04
15. 真田山周辺を歩く 2013.02.11
16. 三光神社・旧真田山陸軍墓地周辺を歩く 2013.02.18
17. 玉造・森之宮周辺を歩く 2013.02.24
18. 大阪城周辺を歩く 2013.03.02
19. 八軒家浜周辺を歩く 2013.03.11
20. 難波宮跡周辺を歩く 2013.03.24
21. 天王寺〜桃谷周辺を歩く 2013.04.15
番外編:ノバク・野漠の窪地
番外編:空堀を探せ
【 大阪アースダイバーを歩くシリーズ 】
1. 宇宙船イワフネ号と磐船神社 2012.11.20
2. 太陽の女神と上町台地 2012.11.25
(関連記事)
『大阪アースダイバー出版・ようこそ中沢新一さん』 2012.10.13
『大阪アースダイバーへの道』 2010.04.25
『アースダイビング in 上町台地』 2010.04.11
『アースダイビング in 大阪城』 2010.04.30
『アースダイビング in 生國魂神社』 2009.04.16
『アースダイバー in 大阪』 2009.04.12
ポチッと、応援よろしく♪
上町台地の高低差を歩こう!
21. 天王寺〜桃谷周辺を歩く
先日、大阪高低差学会の会員3名(0001の@miz0001さん、0373の@chuunyaさん、9973の@chaotic_chaosさん)と天王寺から桃谷周辺を歩いてきました。当初は私ひとりで桃谷を歩く予定だったのですが、急遽一緒に歩きましょうかということになり、ある意味これが大阪高低差学会の「第0回フィールドワーク」かもしれません。ちなみに「第1回フィールドワーク」を4月28日に開催予定です。ご案内は後ほど。

高低差で色分けした航空写真です。
四天王寺東側の地形は比較的なだらかです。

河堀稲生(こぼれいなり)神社から茶臼山の河底池にかけては和気清麻呂(わけのきよまろ)が行った治水工事の跡だと言われる窪地が確認できます。

あべのハルカスです。夏にはタワー館と呼ばれるエリアが先行オープンしますね。

いい感じのアーケード街に、

いい感じの駄菓子屋さん。

JR天王寺駅の下をくぐる地下道がありました。

午後7時から午前7時までは閉鎖されている。

地下道はこんな場所。ここは庚申街道の名残の道になります。

ちなみに明治19年測量の地図と重ねるとこのようになる。

階段を上がると

目の前に再びハルカスが。
ここはJR天王寺駅の上にある陸橋です。この陸橋も庚申街道の名残です。

さて、陸橋を渡らず下に下りていきます。

天王寺バイパスの下。

ここにこんな階段がある。上に上がれるのか!

おお〜!再びハルカスが。
さて、

河堀稲生神社にやってきました。
神社は隆起した地形の上にある。

「河堀」は「こぼれ」、「稲生」は「いなり」と称します。

拝殿です。

こちらは四天王寺七宮の一宮になります。
「延暦七年三月、摂津大夫和気朝臣清麿(せっつだいふわけのあそみきよまろ)が、河内摂津両国の界に川を堀り堤を築き、荒陵の南より河内川を導き西の海に通せんとして、当社に祈願した。以後河堀と書いて「コボレ」と称す。」

拝殿の横に道標がある。

どこにあった物でしょうか。
おそらく道路の拡張時にここへ移設されたのでしょう。

さらに北に歩いて行きます。

いい感じの建物ですね。

旅館だったのかな。立派な建物です。

久保神社です。

こちらは拝殿。

こちらも四天王寺七宮のひとつです。

こちらには大岩小岩大明神が祀られている。
御神体は岩。大阪市内にも自然石を御神体とする場所があったとは。

境内にちょっと気になる場所が。

ここに力石が5つほど置かれていました。
どういういわれなのでしょう。

左に四天王寺が見えましたが、立ち寄らずに細工谷へ。

(a)松ヶ鼻町でちょっと気になる集合住宅がありました。現在は閉鎖されていて解体を待っている感じの建物。

調べると、昭和23〜24年頃に竣工した府営夕陽ヶ丘住宅だそうです。戦後すぐに建てられた建物とは思えない立派な集合住宅ですね。建築時期を知ってちょっとビックリでした。

(b)ほとんど垂直に近い階段。まるで壁のようです。

ここを「壁階段」と呼ぶ事にしました。

松ヶ鼻町。町名の由来はわかりませんでしたが、明治28年に大阪鉄道城東線桃山停車場(現JR桃谷駅)開設を契機に宅地化が進んだ地域です。それまでは桃畑や茶畑が多い場所だったようです。

こういう石積みは昔の地形の名残を感じる。

周辺にはところどころに高低差を見ることが出来る。

この傾斜地に桃や茶が植えられていたのでしょう。桃の花の季節は多くの人がこの地を訪れたのでしょうね。

(e)道の隅にこんな碑があった。

「是より東 鶯の丘」。鶯の丘とは何なんでしょう?地名ではなさそうな…

ゆるやかな坂道の横道にも高低差がある。

(d)いい石積みです。

ここも昔は石段だったのでしょうか。

(C)赤い色の石が混ざった石段発見。

ちょっと珍しいかも。

町の中にさりげなくある高低差。
さて、

工事中の道路に出てきました。この道路、結構長い間工事をしていたようですが、実は道路の下には細工谷遺跡が眠っています。
「大阪歴史博物館」より

これが発掘当時の写真。
「大阪歴史博物館」より

この地から、今まで知られていなかった「百済尼寺」の存在を示す多数の墨書土器や瓦が出土しています。
「大阪歴史博物館」より

さらに、全国初の発見となった和同開珎の枝銭が見つかりました。
「大阪歴史博物館」より

ちなみに枝銭とは貨幣を製造する時に出来る木の枝のような部分。
「大阪歴史博物館」より

これは最古の通貨といわれる富本銭。
凄い物が発掘されていたのですね。上町台地は奥が深いです。
より大きな地図で 上町台地の高低差を歩こう を表示
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冒頭で触れましたが、
大阪高低差学会の第1回フィールドワークを開催することにしました。
大阪高低差学会
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開催日:4月28日(日)雨天決行(ただし悪天候の場合は中止)
集合場所:午後1時に天満橋駅前広場1階(地上階・スターバックス横の広場)
【申し込み方法】
下記のATNDで参加表明してください。それだけです。
http://atnd.org/events/38565
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2. 住吉大社周辺を歩く 2012.12.4
3. 帝塚山古墳周辺を歩く 2012.12.6
4. 阿部野神社周辺を歩く 2012.12.8
5. 聖天山正圓寺・阿倍野墓地周辺を歩く 2012.12.11
6. 阿倍野周辺を歩く 2012.12.13
7. 天王寺公園周辺を歩く 2012.12.16
8. 安居神社・清水寺周辺を歩く 2012.12.19
9. 四天王寺周辺を歩く 2012.12.23
10. 愛染堂・大江神社周辺を歩く 2012.12.29
11. 生国魂神社周辺を歩く 2013.01.11
12. 空堀商店街周辺を歩く 2013.01.18
13. 松屋町筋・龍造寺町周辺を歩く 2013.01.22
14. 鶴橋・上本町周辺を歩く 2013.02.04
15. 真田山周辺を歩く 2013.02.11
16. 三光神社・旧真田山陸軍墓地周辺を歩く 2013.02.18
17. 玉造・森之宮周辺を歩く 2013.02.24
18. 大阪城周辺を歩く 2013.03.02
19. 八軒家浜周辺を歩く 2013.03.11
20. 難波宮跡周辺を歩く 2013.03.24
21. 天王寺〜桃谷周辺を歩く 2013.04.15
番外編:ノバク・野漠の窪地
番外編:空堀を探せ
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『大阪アースダイバーへの道』 2010.04.25
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コメント
ミナミ | URL | -
天王寺バイパスの下?の階段は何だったんでしょうか?
上っても歩行者・自転車は通行できないでしょうに・・
( 2013年04月16日 07:48 )
甲山敏郎 | URL | 5bwaSGmE
四天王寺の入り江
和気清麻呂のが掘らせた川は難波近くまで入り込んでいた入り江
に繋げる計画だったのでしょうか。そうであれば明治の初めごろ
難波で発掘された外洋航行も可能と思われる巨大な古代船も納得
なのですが。
この入り江は四天王寺近くの上町台地から流れ出る小川が
南北に形成された砂州を断ち切るように大阪湾に注いだものなの
でしょうか。
しかしこの工事は未完成ですよね。
( 2015年08月27日 21:14 [Edit] )
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( 2016年01月11日 23:05 )
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