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昭和一桁の十三 4

2007年12月21日 23:09

昭和一桁の十三(じうさう) 4

アンダーグラウンド

陽のあたる所があれば、影になる所が必ずあります。十三の影の部分も「近代大阪」には書かれています。一部不適切な単語が出てきますが原文のまま引用させていただきます。

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十三では、試みに阪急の電車線路の下をくぐる、ある地下歩道の入口に、十分間も立ってみ給へ。この辺りの生活の階級を知ることが出来るであらう。それは結局大したブルヂョアもない代りに、また大した貧乏人も通らないといふことだ。みな働いてゐる。みな忙しく、みな労(疲)れてゐる。色彩が地味で、派手なものは見当らず、いかにも地下道を潜つて行くのにふさはしい人ばかりである。もつとも、この地下道の入口には、通行人に哀れみを乞うてゐる乞食の婆さんなどをよく見かける。さうすると、殊勝気にたち止って、帯の間からなにがしかのお鳥目をとり出して与へて行く、色っぽい銀杏返しの女などを見受けることもあるが…。

「近代大阪 近畿景観第三編 / 北尾鐐之助」より

地下道
「近代大阪」より十三町の地下道。
昭和7年頃の十三駅の地下道です。この時代だけでなく、私が子供の頃もときどき見かけた風景です。十三の歴史資料としてこのブログを編集していますので、あえてこの写真も載せました。この地下道は子供ながらに胸を痛めながら歩いた記憶が残っています。

駅前
(思い出の十三 イラストマップ~十三駅前周辺)

高架下
現在の地下道。人や自転車の行き来が絶えません。




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コメント

  1. ゆきひろ | URL | XoxlQHfE

    地下道...

    そうです。
    そういう現実がありました。
    私がよく記憶しているのは、戦争で怪我をされた方が白い服をまとい、傍らに義足を置いていつも座っておられたこと。

    今は夜になるとギターを弾きながら歌っているストリートミュージシャン、それを聞いている女性、確かに時代は変わりました。
    だけどまだ苦しんでいる人たちがいることも忘れてはいけませんね。
    今日の写真は胸がどきっとしました。

  2. 新之介 | URL | -

    白い服

    ゆきひろ様
    ありがとうございます。
    今回のページはコメントを読むのが怖かったです。
    ゆきひろ様のコメントを読んでほっとしました。
    私も、白い服を着ていた方がすごく印象に残っています。
    戦争を知らない世代ですが、戦争の事はどこか避けていたところがあります。戦争時代のいろいろなことをもっと知ったほうがいいのかなと最近思っています。

  3. Empizzo | URL | X/aoCwEI

    摩天楼vs十三

    幼い頃ですが。
    私の父方の実家は木川でした。
    加島からバスに乗り、十三で降り、
    喜八洲の前を通過、ガード下をくぐります。
    父は幼い私に「しょういぐんじん」と言いました。
    ただ、今から考えると、
    軍人さんではなかったと思います。
    軍人恩給が出るはずですから。
    ただあのガード下、公道なのでしょうけれど、
    なにか阪急の駅管理のような気もしています。

    摩天楼。
    私は幼い頃、その言葉イコールニューヨークと思っていましたが、
    ついに大阪もそうなりつつあるのでしょう。
    法人のビルというより、圧倒的にマンションの建設に
    高層が求められているように思います。

    「近代大阪 近畿景観第三編 」という本、知りませんでした。
    描写ですね。
    淀川の左岸から見る十三方面、逆に
    私は「ほっと」しますね。
    摩天楼は今後さらに変貌とボリュームをアップしていくのでしょうね。

  4. 新之介 | URL | sDz630us

    Empizzoさん

    僕が学生の頃、傷痍軍人(?)の方をガード下で良く見かけました。
    当時はよくわかっていませんでしたが、
    ほとんど毎日座られていたのを覚えています。

    「近代大阪 近畿景観第三編」はお薦めです。
    旧漢字なので苦労して読んでいますが
    当時の描写がすばらしく、歴史書としても面白い本です。

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