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瑞光寺のくじら橋

2009年04月21日 09:45

瑞光寺・雪鯨橋

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東淀川区役所が地元の伝承を絵本にしています。その中に「くじら橋」というお話があります。

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ここは阪急上新庄駅から歩いて数分の所ある瑞光寺(ずいこうじ)。由緒あるお寺です。

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このお寺にはちょっと変わった橋があります。

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それが雪鯨橋(せつげいきょう)。クジラの骨で造られた橋です。

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くじら橋とはこんなお話です…
時は宝暦6年(1756)、4代住職の譚住知忍(たんじゅうちにん)という名僧が紀伊の国の太地浦(たいじうら・和歌山県太地町)を通りかかると、村はクジラが捕れず飢えに苦しんでいました。村長の覚右衛門と網元の次右衛門は偉いお坊さんが訪れたことを知り、涙ながらに祈祷をお願いします。

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しかし、仏の道には生き物を殺すことを禁ずる教えがあるので何度も断りますが、村人が苦しむ姿を見かねて、2週間の祈りを続けました。そして満願の日の朝、水平線が黒く染まるほどの鯨の大群が現れたのです。村人は喜び沖にでます。

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知忍禅師(ちねんぜんじ)は浜に上げられ次々と解体されるクジラの姿を見て呆然と立ち尽くし、こっそりと瑞光寺に戻りました。

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「和尚にお礼をせねば」と覚右衛門達は瑞光寺をたずね、黄金30両と鯨の骨18本を置いて帰ります。知忍禅師は鯨の冥福と生き物の命を大切にするという気持ちをこめて、弘済池(こうさいち)に鯨の骨で橋を造りました。

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という実話です。現在ある橋は6代目。

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古くなるたびに太地町の協力で架け替えられています。

『雪鯨橋のかけかえ作業~鯨骨埋設』 クジラTOPICS
『雪鯨橋が骨付け替え』 ☆大阪百科☆ニュース

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5代目の骨はここに置かれていました。

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こんな所にも骨が。井戸のフタのオモリでしょうか。

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この骨のゲートはおそらく今年からだと思います。

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ところで、このくじら橋は地元の郷土史に関心のある方にはちょっと知られた存在です。

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というのも、こんな小冊子もあるから。
これは淀川区役所が発行している郷土史で、ほぼ全ての大阪市立図書館においています。この冊子は地元にお住まい(私の家の近く♪)の三善貞司(みよしていじ)先生が編者で、地域の郷土史をとてもわかりやすく解説しています。『淀川流域の伝承』には鯨橋のことも書かれています。三善先生は地域史研究者として有名な方です。

淀川区、淀川流域の史跡・伝承に関心のある方はぜひ図書館でお探しください。もっともっと広く読んでもらいたい郷土史です。


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コメント

  1. 歴史花子 | URL | FXbBe/Mw

    こんにちは

    はじめまして

    上新庄にそんな所があるなんて知らなかったです。
    今度見に行ってみようと思います。
    勉強になりました。

  2. TOSSY | URL | mXJ0wlpU

    鯨橋

    淀川区で中学高校と過ごしましたので存在は知っていましたが見たことは無いのです
    これは一見の価値がありますね
    ぜひ行ってみたく思います
    捕鯨が全面的に禁止されたら くじら橋 どうなるのかしら・・

  3. 新之介 | URL | sDz630us

    歴史花子さん

    そう言ってくださるのが
    一番うれしいです。
    内環状線沿いの交通量の多いところですが、
    一歩敷地内に入るを騒がしさから開放されます。

  4. 新之介 | URL | sDz630us

    TOSSYさん

    瑞光寺から少し足を伸ばすと
    江口君堂があります。
    このコースを歩かれる方が多いようです。
    でも実際はかなり距離がありますので
    バス移動をお勧めします。

    ほんと、捕鯨が全面的に禁止になったら
    改築か無理かもしれませんね。

  5. | |

    管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

  6. カオス | URL | -

    画像の表示が×ですよ

    13枚目の骨ゲートの写真以外は画像が表示されてませんけど...
    (クリックで別ウィンドウ表示はOKです)
    なぜでしょう?

  7. 新之介 | URL | sDz630us

    カオスさん

    ありがとう。
    一部画像がつぶれてました。
    おそらくサーバーの問題かと…
    全部見れてる?
    まだおかしければ教えてください。

  8. ゼク | URL | q1cvaNjE

    この瑞光寺はうちの近所ですよ!!
    この場所だけが取り残された感じになっていますね!

    東淀川区史を見るとこの近くを流れる神崎川が明治11年に付け替えられた川だと記されています。

    僕の育ったのは摂津市の別府~~味生なので旧家に住む同級生から江戸時代この辺りはいつも水害に悩まされたので
    大きな家には舟があってそれに家財を載せて難を逃れたと聞きました。

    なるほど調べてみれば淀川の堤防が切れたりで当時は大変だったのでしょうね。
    それで神崎川の付け替えを行い今の東から西に流れる形になったと思うのですが、この区史が出た昭和31年にはこの旧神崎川の堤防があったと言うのです。

    そして旧神崎川の流れていた場所を思い出すと確かに昭和62年くらいまでは堤防のようなものがあったのです。
    その後その場所は整地されて今はきれいな道になりましたが・・・・・。
    場所的には経済大学のグランドの西側でした。

    地図を見るとあの井高野の道は明治18年の地図にも載っているくらいに古いですよね!きっと昔の神崎川の堤防だったんだと今は感激で胸がいっぱいです・・・。

  9. 新之介 | URL | sDz630us

    ゼクさん

    川の跡って何かロマンがありますよね。
    昔から続く旧道も。
    ある意味それを追いかけて歩くことは
    アースダイビングのようなものだと思います。
    私も川の跡やくねくね道を見つけるのが大好き^^

  10. このブログ記事は素晴らしいですね!

    初めまして、NPO法人スマート観光推進機構の星乃と申します。
    ブログ記事が素晴らしいのでコメントをお送りさせていただきます。

    私達は、関西の自治体や観光協会はバラバラなので、関西の観光・まち遊びの情報を1ヶ所に集める活動をしております。
    サイトは『遊ぼうKANSAI』(http://www.asokan.jp/)です。

    突然のお願いなのですが、貴ブログを『遊ぼうKANSAI』に転載させていただけないでしょうか。
    一部をご紹介して、「その記事を見る」で貴ブログに飛ぶことができる構造にしております。

    よろしくお願いいたします。

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