2022年07月21日 03:00
ガラスのような黒曜石を求めて
星糞峠黒耀石原産地遺跡
『ブラタモリ』の「諏訪」で印象深かったのが諏訪湖と縄文文化の関わりでした。諏訪湖に行くことがあれば真っ先に行きたかった場所が黒曜石に関わる場所。調べると「黒曜石体験ミュージアム」というのがあったので行ってきました。結論から言うととても素晴らしい場所でしたよ。

『ブラタモリ』で印象的だったのが透き通るガラスそのもののような黒曜石。

それとタモリさんが降り立った縄文時代の黒曜石の採掘跡。

さらには、諏訪の黒曜石が縄文時代に関東信越、東海北陸、東北や北海道まで流通していたと言う事実。

諏訪湖の岡谷ICから車で約30分ほどの場所に「黒曜石体験ミュージアム」があります。開館したのは平成16年で、その関連施設として令和3年7月に「黒耀石鉱山展示室 星くそ館」がオープンしました。まず、この地域と黒曜石の歴史についてざっくり説明しておくと、

約87万年前におこった火山噴火によりできた黒曜石は火砕流によって運ばれて堆積し、その土地が地殻変動により傾斜地となって土砂が谷底に崩れ落ちます。

約3万年前、旧石器時代の人々は川底に落ちてる黒曜石を拾って石器づくりをはじめ、川沿いに多くの集落ができ石器や原石は遠くのムラへも持ち運ばれました。

約1万年前〜3500年前の縄文時代、黒曜石が川で拾えなくなると山に登って黒曜石を掘り出すようになります。縄文人は両端がとがった掘り棒などで深さ3mほどの穴を掘って黒曜石を掘り出していました。星糞峠の地域では斜面に200箇所近くの採掘趾の窪地が見つかっています。

発掘現場からは、縄文人が発見できなかった黒曜石の大きな原石や、小さな原石、黒曜石を割るときに使う台石や叩き割るために石などが見つかっています。

この地域でとれる黒曜石の特徴はとにかく良質でガラスに近いこと。下から光を当てると透き通って見えます。

槍先形尖頭器、よく刺さりそう

ナイフ形石器、見るからに切れ味良さそう

石鏃、先が鋭い

良質な黒曜石なのでかなり広い範囲まで流通していきました。まさに最高品質のブランド品だったのかもしれません。

その証拠として、川下のムラには各地から黒曜石を求めてやってきた縄文人が持ち込んだものと思われる土器や石斧などが見つかっています。

これは黒曜石の原産地と旧石器時代・縄文時代の遺跡の分布です。原産地に近い川沿いにムラがつくられています。

この地図は、星糞峠周辺の黒曜石原産地と旧石器時代の遺跡の分布です。青い山の斜面から流れ出た土砂が谷を流れる鷹山川に流れ落ち、その川沿いに集落ができた様子がよくわかります。

黒曜石体験ミュージアムから山道を歩いて20分ほどの場所に「星くそ館・黒曜石鉱山展示室」があります。そちらに向かいましょう。ちなみに「星くそ(糞)」とは江戸時代につけられた名前で、この辺りの土地が星のようにキラキラ輝いて見えることから、星糞峠と呼ぶようになったそうです。当時の人は黒曜石が空から降ってきたものと思っていたのかもしれません。

こちらから入山します。

受付で熊除けの鈴を貸してくれました。ちょっと安心です。

歩き出してすぐに小川があったのですが、黒曜石は見つけられなかった。

矢印に沿って歩きます。

ここからが上り坂。

20分ほど歩くと平らな場所に出ます。この辺りが「国史跡 星糞峠黒曜石原産地遺跡」。

「星くそ館・黒曜石鉱山展示室」の近くに犬のオブジェがあったのですが、背中に黒曜石が。

無造作に黒曜石が置かれていたのでちょっとびっくりでした。ちなみに黒曜石は持ち帰り禁止です。

「星くそ館・黒曜石鉱山展示室」は、第1号採掘趾の本物の地層を剥ぎ取って展示しています。

縄文人が掘ったり埋めたりを繰り返しているのでかなり複雑な地層になっています。

黒曜石がわかりますでしょうか?

このように原石のかけらが石など堆積物にまざって埋まっています。

奥に縄文人

採掘現場からは掘るための堀り棒や崩落を防ぐ木の柵などが見つかっています。

黒曜石を掘り出した竪坑(たてこう)は、黒曜石のかたまりが埋もれている白い火山灰層をねらって掘られていました。直径3m、深さ3mほどの井戸のような穴がこのあたりにはたくさん埋れています。

ここから山頂付近まで採掘趾が点在しているようです。さらに歩いていきましょう。

矢印があるので迷うことはないと思います。

こちらは第43号採掘趾。窪んでいる様子が描かれているのでわかりやすい。

草が生えてわかりにくいですが大きなスチバチ状の窪みがあります。

さらに登っていきます。

ふと足元に黒曜石らしきものを見つけました。

実はいまごろ気付いたのですが黒曜石が足元に散らばっていました。この中で黒曜石がわかりますか?

これらです。小さいカケラなのでわかりにくいですが手に取ると明らかにガラス質です。

山頂付近に巨大な岩がありました。安山岩のようです。

虫倉山の斜面が崩れた時に現れたものだそうで、その土砂の中に黒曜石の塊が含まれ、それを縄文人が掘り出していたのだそうです。

慣れてくるとあちらこちらに黒曜石があるのがわかります。ちょっとしゃがんで手の届く範囲で集めてみました。

太陽の当たり方でキラキラと光って見えたのでしょうね。「星くそ」ではなく「星くず」ならもっとよかったのに…

星糞峠の黒耀石原産地遺跡は想像以上に面白い場所でした。結局、タモリさんが入った深い穴の場所はわかりませんでしたが、ガラスのような黒曜石がたくさん見ることができる素晴らしい場所でした。
黒曜石体験ミュージアムから星糞峠黒耀石原産地遺跡へ。スタート地点はその途中です。
星糞峠黒耀石原産地遺跡
『ブラタモリ』の「諏訪」で印象深かったのが諏訪湖と縄文文化の関わりでした。諏訪湖に行くことがあれば真っ先に行きたかった場所が黒曜石に関わる場所。調べると「黒曜石体験ミュージアム」というのがあったので行ってきました。結論から言うととても素晴らしい場所でしたよ。

『ブラタモリ』で印象的だったのが透き通るガラスそのもののような黒曜石。

それとタモリさんが降り立った縄文時代の黒曜石の採掘跡。

さらには、諏訪の黒曜石が縄文時代に関東信越、東海北陸、東北や北海道まで流通していたと言う事実。

諏訪湖の岡谷ICから車で約30分ほどの場所に「黒曜石体験ミュージアム」があります。開館したのは平成16年で、その関連施設として令和3年7月に「黒耀石鉱山展示室 星くそ館」がオープンしました。まず、この地域と黒曜石の歴史についてざっくり説明しておくと、

約87万年前におこった火山噴火によりできた黒曜石は火砕流によって運ばれて堆積し、その土地が地殻変動により傾斜地となって土砂が谷底に崩れ落ちます。

約3万年前、旧石器時代の人々は川底に落ちてる黒曜石を拾って石器づくりをはじめ、川沿いに多くの集落ができ石器や原石は遠くのムラへも持ち運ばれました。

約1万年前〜3500年前の縄文時代、黒曜石が川で拾えなくなると山に登って黒曜石を掘り出すようになります。縄文人は両端がとがった掘り棒などで深さ3mほどの穴を掘って黒曜石を掘り出していました。星糞峠の地域では斜面に200箇所近くの採掘趾の窪地が見つかっています。

発掘現場からは、縄文人が発見できなかった黒曜石の大きな原石や、小さな原石、黒曜石を割るときに使う台石や叩き割るために石などが見つかっています。

この地域でとれる黒曜石の特徴はとにかく良質でガラスに近いこと。下から光を当てると透き通って見えます。

槍先形尖頭器、よく刺さりそう

ナイフ形石器、見るからに切れ味良さそう

石鏃、先が鋭い

良質な黒曜石なのでかなり広い範囲まで流通していきました。まさに最高品質のブランド品だったのかもしれません。

その証拠として、川下のムラには各地から黒曜石を求めてやってきた縄文人が持ち込んだものと思われる土器や石斧などが見つかっています。

これは黒曜石の原産地と旧石器時代・縄文時代の遺跡の分布です。原産地に近い川沿いにムラがつくられています。

この地図は、星糞峠周辺の黒曜石原産地と旧石器時代の遺跡の分布です。青い山の斜面から流れ出た土砂が谷を流れる鷹山川に流れ落ち、その川沿いに集落ができた様子がよくわかります。

黒曜石体験ミュージアムから山道を歩いて20分ほどの場所に「星くそ館・黒曜石鉱山展示室」があります。そちらに向かいましょう。ちなみに「星くそ(糞)」とは江戸時代につけられた名前で、この辺りの土地が星のようにキラキラ輝いて見えることから、星糞峠と呼ぶようになったそうです。当時の人は黒曜石が空から降ってきたものと思っていたのかもしれません。

こちらから入山します。

受付で熊除けの鈴を貸してくれました。ちょっと安心です。

歩き出してすぐに小川があったのですが、黒曜石は見つけられなかった。

矢印に沿って歩きます。

ここからが上り坂。

20分ほど歩くと平らな場所に出ます。この辺りが「国史跡 星糞峠黒曜石原産地遺跡」。

「星くそ館・黒曜石鉱山展示室」の近くに犬のオブジェがあったのですが、背中に黒曜石が。

無造作に黒曜石が置かれていたのでちょっとびっくりでした。ちなみに黒曜石は持ち帰り禁止です。

「星くそ館・黒曜石鉱山展示室」は、第1号採掘趾の本物の地層を剥ぎ取って展示しています。

縄文人が掘ったり埋めたりを繰り返しているのでかなり複雑な地層になっています。

黒曜石がわかりますでしょうか?

このように原石のかけらが石など堆積物にまざって埋まっています。

奥に縄文人

採掘現場からは掘るための堀り棒や崩落を防ぐ木の柵などが見つかっています。

黒曜石を掘り出した竪坑(たてこう)は、黒曜石のかたまりが埋もれている白い火山灰層をねらって掘られていました。直径3m、深さ3mほどの井戸のような穴がこのあたりにはたくさん埋れています。

ここから山頂付近まで採掘趾が点在しているようです。さらに歩いていきましょう。

矢印があるので迷うことはないと思います。

こちらは第43号採掘趾。窪んでいる様子が描かれているのでわかりやすい。

草が生えてわかりにくいですが大きなスチバチ状の窪みがあります。

さらに登っていきます。

ふと足元に黒曜石らしきものを見つけました。

実はいまごろ気付いたのですが黒曜石が足元に散らばっていました。この中で黒曜石がわかりますか?

これらです。小さいカケラなのでわかりにくいですが手に取ると明らかにガラス質です。

山頂付近に巨大な岩がありました。安山岩のようです。

虫倉山の斜面が崩れた時に現れたものだそうで、その土砂の中に黒曜石の塊が含まれ、それを縄文人が掘り出していたのだそうです。

慣れてくるとあちらこちらに黒曜石があるのがわかります。ちょっとしゃがんで手の届く範囲で集めてみました。

太陽の当たり方でキラキラと光って見えたのでしょうね。「星くそ」ではなく「星くず」ならもっとよかったのに…

星糞峠の黒耀石原産地遺跡は想像以上に面白い場所でした。結局、タモリさんが入った深い穴の場所はわかりませんでしたが、ガラスのような黒曜石がたくさん見ることができる素晴らしい場所でした。
黒曜石体験ミュージアムから星糞峠黒耀石原産地遺跡へ。スタート地点はその途中です。
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