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大阪アースダイバー・太陽の女神と上町台地

2012年11月25日 00:00

大阪アースダイバーを歩く(2)
太陽の女神を祀る神社

「大阪では、東から西に向かう軸線の上に有力な神社や寺院の並んでいるのを見出すことができる。住吉大社と生駒山系の高安山を結ぶ線上には、合邦辻(がっぽうがつじ)、喜連(きれ)・瓜破(うりわり)などが並んでいる。鶴橋の比売許曾(ひめこそ)神社や、平野の古社で赤留比売(あかるひめ)神社は、その名がしめすとおり、太陽の巫女を祀った神社であるが、いずれも生駒山の山々から朝の光を受ける位置に設定されている。それだけではない。上町台地の突端部に立って、冬至の朝の日の出を待つと、高安山の頂上から新しい太陽は出現する。その場所に、古代には坐摩(いかすり)の巫女の住まう神社が、設けられていたと言われる。坐摩神社は上町台地そのものの土地神でもあり、神話風に言えば、冬至の日に大地の生命を託された巫女は、すっかり弱まっていまにも死を迎えようとする太陽から精を受けて、新しい命を身籠るのである。」(中沢新一『大阪アースダイバー』講談社)

(弥生時代後期〜古墳時代前期の地図)
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「女神たちは、いかにも「ここから上陸しました」とでも言わんばかりの痕跡を残して、五世紀の頃、古代大阪の上町台地にたどり着いている。女神を祀っていたいくつかの集団は、上町台地とその東側に広がる扇状台地に散っていき、気に入った場所を見つけては、そこに女神の神社を建てて住み着いた。そして彼らは、大阪の基礎をつくる人々となった。(中略)この古い来歴をもつ女神たちは、「アカルヒメ(赤留比売)」や「シタテル(下照)」の名前で呼ばれ、女神を祀る神社は「ヒメコソ(比売許曾)」と呼ばれたが、いずれもそのイメージのなかには「太陽」や「太陽の輝き」の意味が含まれている。「ヒメ」はしばしば「ヒルメ」とも呼ばれ、しかも「ヒルメ」は漢字を使った古い書き方では「日妻」と書かれた。ここから推測するに、上町台地に最初にたどり着いた女神たちは、いずれも「太陽の妻」という名前であったことがわかる。」(中沢新一『大阪アースダイバー』講談社)

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谷町九丁目から少し歩くと高津宮(こうずぐう) がある。

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仁徳天皇を主祭神とする由緒ある神社です。

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橋の跡ですね。梅乃橋というようで、かつてこの辺り一帯は梅の名所だったそうです。

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これは井戸の跡。

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梅ノ井。上町台地の伏流水が湧く名水であったとか。

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ところで、記事の内容と関係ないですが、高津宮と坐摩神社行宮の写真はすべてiPhone5で撮っています。写真のクオリティのご参考に。

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さて、高津宮の創始は貞観8年(866)といわれています。

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しかし天正11年(1583)、豊臣秀吉が大坂城を築城する際、現在のこの地に遷されました。

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この地は元々比売古曽(ひめこそ)神社の境内だったようです。

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鶴橋駅の近くにも字は違うが比売許曽(ひめこそ)神社があります。

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本殿東側の高倉稲荷神社の横の参道を行くと

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その先は崖になっている。

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谷底のようです。

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下にある祠は谷末社で野の神、市場を主宰する神、山の神が祀られている。そして、階段の途中には陰陽石がある。

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かなり急な階段です。

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下まで下りて見上げてみた。ちょっとここだけ空気が違う感じがする。

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中央にある石が陰石。

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その右側にあるのが陽石です。比売古曾神社は子授けの神として信仰されているそうです。

大阪市内の真ん中に陰陽石があったとは…

さて、
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平野区にある赤留比売命(あかるひめ)神社です。

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こちらには新羅から来た女神が祀られているようです。創建もかなり古そう。

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明らかに季節が今ではないのはご了承ください ^ ^;

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こちらが拝殿。

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その奥が本殿。その裏側は土塁(どるい)になっている。

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平野は環濠集落としても有名な場所ですが、この土塁の向こう側は昔は濠(堀)になっています。

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現在は公園になっていますが、中心部は土塁、左が壕です。

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この橋は後で作られたものかもしれませんね。

最後に、
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上町台地の先端部にある坐摩(いかすり)神社の御旅所です。

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坐摩神社行宮(あんぐう)の碑が建つ。この辺り一帯は元々渡辺一族の土地で、この地に祀られていたイカスリの神霊は上町台地の地主神そのものであったという。

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坐摩神社は豊臣秀吉の大阪城の築城に際し中央区久太郎町に移転しています。

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冬至の日、この地から生駒山地の方を見るとちょうど高安山から太陽が上がるといい、その光を受けて聖なる巫女が、神の子供を生むという神話があったのではないかと大阪アースダイバーには書かれている。とても神秘的な場所です。

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現在はビルに挟まれた狭い場所ですが、手前のステンレスに囲まれた下には神功皇后の鎮座石が今も昔と同じ場所にある。

今はここから高安山からのぼる太陽は見えないが、その時代のことをイメージすることがアースダイビングの面白さなのかもしれない。


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